2008年4月18日(金曜日)

相次ぐ聖火リレーの妨害抗議なぜ中国は反発されるのか

カテゴリー: - webmaster @ 15時48分52秒

<2008年4月10日付/日経BPnet
 田原 総一朗氏のコラムを引用させて頂きました>

相次ぐ聖火リレーの妨害抗議 なぜ中国は反発されるのか

 

 北京五輪を巡って、ヨーロッパ、アメリカで、抗議行動が相次いでいる。
フランスのベルナール・クシュネル外務大臣が「開会式には出席しない」と発言したことを皮切りに、チェコやポーランドの首相、そしてドイツのメルケル首相もそれぞれ不参加の意思を表明し、フランスのサルコジ大統領も開会式に出席しない可能性を強く匂わせている。

 

 また、アメリカのヒラリー・クリントン民主党大統領候補も、「ブッシュ大統領は出るべきではない」と発言している。

 

市民にもルートを伏せる異常事態

 ギリシャのオリンピアで行われた五輪の聖火採火式では、北京五輪に反対する男たち数人が儀式に乱入するという事件が起きた。

 

 また、ロンドン、パリでは聖火ランナーに対して大規模な妨害行為が繰り返された。パリでは4回も聖火ランナーの聖火を消さなければならない事態となり、最後は聖火ランナーがバスで移動する措置もとられた。

 

 そして9日に行われたアメリカのサンフランシスコの聖火リレーは、もっと激しい阻止行動が行われると見られていたこともあり、隠密裏にコースをまるごと変更するという異常事態となった。

 

なぜここまで波紋が広がったのか

 なぜ、これほど欧米で北京五輪への反対運動が高まっているのか。果たしてチベット騒乱だけで、これほど波紋が広がることになったのだろうか。

 確かに引き金となったのはチベット騒乱だ。中国がチベットの騒乱を鎮圧するために、武装警官隊が死者を出すほどの乱暴をチベットの市民に対して行ったと報じられた。その死者の数は、インド北部ダラムサラに拠点を置くチベット亡命政府の発表によると140人、中国側の発表によると20人と、大きな隔たりがある。いずれにしても、中国政府がやりすぎたという声が強い。

 

 チベット問題は中国にとっても頭の痛い問題だ。今から49年前の1959年3月10日に、毛沢東のもとで躍進、行動半径を広げる中国が軍隊を派遣してチベットに対する管理が高まり、暴動が起きた。「チベット動乱」と呼ばれている出来事だ。このチベット動乱でダライ・ラマはインドに亡命せざるをえなくなった。

 

 1959年以降、3月10日前後には毎年のように、チベットで、あるいは、チベット人によるデモは色々と起きていた。そして49年目の今年は、このようなより大きな騒乱になってしまった。

 

 チベット騒乱については、欧米の多くの国は、その罪は中国にある、中国が大きく引き起こしたと考えている。中には、北京五輪を迎えるにあたって、物騒な人たちを一気に逮捕するために中国がこの騒乱を引き起こしたのだという説も出てきている。しかし、私はこの説には乗らない。中国にチベット騒乱によるメリットは何もないからだ。

 

中国という国自体が憎まれている

 中国としては、アジア開催が3回目となる北京五輪を何としても成功させたい。このオリンピックの成功が胡錦濤政権の命運にも非常に大きく関わっている。チベット騒乱は中国にとって何のメリットもなく、むしろデメリットばかり大きい。

 

 もっとも騒乱が大きくなったということは、いずれにせよ中国の鎮め方に問題があった、失敗したということはいえるだろう。

 

 それにしても、これほどまでに中国への反発が広がっているのはなぜなのか。僕は、チベット騒乱という問題だけではなく、中国という国そのものが憎まれているような気がしてならない。

 

 中国は今や大国の中では唯一の共産主義国家だ。ヨーロッパ、アメリカ、日本のような民主主義の体制とは違う。

 

 かつてのソ連も共産主義国家だった。北朝鮮もチュチェ思想と言われているが、共産主義国家だ。共産主義の国に共通しているのは、言論の自由がなく、国民を圧力で弾圧して抑えるということだ。そしてこれまでも話し合いではなく、力や武力による鎮圧を行ってきた。

 

 ソ連から体制が変わったロシア対しては、もはや欧米諸国は「ロシア憎し」の姿勢はない。今度プーチンが大統領を退いて首相になるのだが、こんななんとも解せない馬鹿ばかしいことに対しても批判は起こらない。ロシアに対する対応と中国に対する欧米諸国の反応はあまりに違いすぎると思う。

 

 中国では、日本的選挙ではないが、全国人民代表大会(全人代)で選ばれる形で、主席をはじめ、共産党の幹部が決められている。一度退いた幹部がプーチンのように首相になる、例えば胡錦濤主席が辞めてから、温家宝首相の後任に就くなどということはない。

 

中国へのジェラシーが憎しみを掻き立てる

 経済でいえば、中国は少しややこしいのだが「社会主義的自由主義経済」だ。事実上は日本と変わらない自由主義経済だといえる。

 

 前回もこのコラムで報告したように、相当言論の自由も広まっている。僕たちは北京で、非公開ではあるといいながら当然その内容が政府にも伝わる討論を10時間行った。その中で毛沢東や政府の批判もたくさん出てきた。この10年で中国における言論の自由も確実に広がっているのだ。

 

 では、なぜこれほどまで中国は憎まれ、嫌われるのか。

 

 チベット騒乱は確かに先進国にとっては納得できない面がある。しかし、それが反北京五輪に結びつくのは唐突すぎる。

 

 原因の1つは、ジェラシーではないかと思う。欧米の国々や日本も経済は低成長だ。その中で、中国はこの10年間、年10%前後の高度成長を続けている。産業経済の拡大ぶりがすさまじい。

 

 しかも中国は13億という膨大な人口を擁している。そういう中国の躍進、発展に対する欧米諸国のジェラシー、あるいは、脅威、恐怖心があるのではないか。

 

欧米の抗議の裏には恐怖心も

 北京五輪に対する反発が極めて強い中で、アメリカのブッシュ大統領も中国を「責任あるステークホルダーだ」と言っている。ヨーロッパの国々も輸出輸入の関係が増大している中国の経済力をもはや無視できない状況だ。

 

 しかも、同じように経済発展を続けているインドやブラジルと違って、中国はこの10年間で軍事費を2桁増強している。人口が非常に多く、軍事費も拡大、経済的にも大発展している中国に対しては、ジェラシーと同時に、恐怖心もあるのかもしれない。

 

 かつて日本が高度経済成長を続けていたとき、アメリカは日本を「我々とは全く異質の国である」とし、クリントン大統領が「日本はソ連に代わる新しい敵である」と言って、すさまじい日米経済戦争が起きた。

 

 

 経済的にも、日本が世界一素晴らしい技術を持ったとき、かならず欧米はこれを拒否する。NHKが開発したハイビジョンを世界標準にしようとしたら、アメリカが断固拒否した。

 

 もう1つはドコモが開発したiモードだ。だがドコモ方式のiモードも世界標準にはなれなかった。

 

見え隠れする“アジア蔑視”

 ヨーロッパ諸国には、「顔の黄色い人たちが作った技術が世界のデファクト・スタンダードになるなんてとんでもない」という考え方が根底にはあるのではないのか。

 

 小泉政権時代に日本が国連の安保理常任理事国になりたいと言ったときに、多くの国が拒否して常任理事国入りを果たせなかった。アジアの国が世界の中で認められようとする行為は全部潰される。

 

 欧米諸国は、経済では日本を抜き、軍事力でもアメリカを凌駕するようなことになっていけば、中国が近い将来アメリカに変わる世界の主導的な地位を築いてしまう可能性が高いということを恐れているのではないのか。

 

 アジアの国がナンバー1に上りつめることにたいする欧米諸国のジェラシー、アジア蔑視が今回のチベット騒乱をさらに大きな問題にしているのではないのか。

 もっともそうした側面がある一方で、中国は非常に広報活動が下手な国だということも言えるかもしれない。

 

根強く残る中華思想

 中国に比べて、ダライ・ラマの広報活動は実に上手い。ダライ・ラマはチベットからインドへ亡命せざるをえなかったわけだが、「みんなオリンピックに参加しよう」「チベットは独立を望んではいない」といった発言をしている。まるで昔のガンジーのように、全くの非武装で僧侶なので体のある部分を出してヨーロッパやアメリカ歩き回っている。平和友情外交だ。

 

 それに比べると中国は経済・軍事大国で、さらに中国には「自分が世界の中心だ」という中華思想が根強く残っているように思う。中国もそのことに気がついていて、それを抑えようとしているのだが、やはり発言の端々に出てきてしまう。

 

 中国は自分の国が間違いを犯したということを認めたがらない。また、中国にはかつての共産主義の名残があり、中国は何でも正しいと考え、よく「解放」という言葉を使う。この解放という言葉が僕たちには理解できない。

 

 軍隊のことも「人民解放軍」と呼んでいる。「解放」とは一体何を解放するのか。国内の問題は警察が担うので、人民解放軍は外に向かう。外を解放するということは、日本流にいえば「侵略」ということだ。しかし、何でも「解放、解放」と言って、「台湾を解放しなければならない」などといった話になってしまう。これは一種の中華思想だと僕は思う。

 

もう一度冷静に考えるべきときに

 このように「自分の国が正しくて、自分の国が世界の中心である」、それが言動の端々に漂ってくるために、反中国的な感情を生み出しているのではないか。なおヨーロッパが中国にこれほど高圧的に出るのは、これこそが外交だという意見がある。中国から一定の条件を引き出すための手段で、外交とは勝ち負けのゲームだというのである。

 

 EU各国が抱える内なる人種問題に対する言い訳として、人権尊重を主張しているのだという見方もある。今後、日本でも聖火リレーが行われる。そのときに日本人はどういうメッセージを出し、どういう対応をするのか。おそらく中国に対する批判が吹き荒れるだろう。

 

 だが、こうした一方的な、ある方向を向いた感情が世の中を飲み込んでしまうのは、戦争を体験した世代として、非常に危険なことだと思う。単にチベット騒乱を理由に一方的に中国を批判するのは簡単だ。だがオリンピックという祭典を機に、いま一度、冷静に世界平和・世界秩序について立ち止まって考えてみるべきときなのではないのか。

 

****************************************************************  北京オリンピック開催まで、あと4ヶ月余りとなりましたが、聖火リレーを行う各国では妨害抗議が相次ぎました。またリレールートの中に台湾も含まれていましたが、「中国が台北を自国内の路線と位置づけようとしている」として抗議し、受入れを拒否、リレールートから外れることになったようです。
日本は今月4月25日に羽田空港へ聖火が届き、翌26日(土)に長野県で聖火リレーが行われます。
日本でも出発点であった善光寺がチベット弾圧を理由に辞退し、ルート変更を決めたようです。今年に入ってから相次いだ毒ギョーザ事件を初め、日本人も中国に対して批判する人が多数増えたように思えますが、無事にリレーが行えたらと思います。


コメント

このコメントのRSS

TrackBack URL : http://jyotu.net/modules/wordpress/wp-trackback.php/83

この投稿には、まだコメントが付いていません

コメントの投稿

改行や段落は自動です
URLとメールアドレスは自動的にリンクされますので、<a>タグは不要です。
以下のHTMLタグが使用可能です。
<a href="" title="" rel=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <br> <code> <em> <i> <strike> <strong>


ご注意 : セッティングにより、コメント投稿から実際に閲覧できるようになるまで暫く時間が掛かる場合があります。 再投稿の必要はありませんので、表示されるまでお待ち下さい。

15 queries. 0.072 sec.
Powered by WordPress Module based on WordPress ME & WordPress

情報通信ネットワーク
<関東本部>
〒105-0012
東京都港区芝大門1-2-18
Noyori BLD.5F
Tel:03-6435-8541
Fax:03-6435-8540
E-mail:tokyo@jyotu.net

<関西本部>
〒612-8445
京都市伏見区竹田浄菩提院町
132 オフィス油忠 3階
Tel:075-748-6631
Fax:075-748-6638
E-mail:kansai@jyotu.net

<大阪事務所>
〒550-0002
大阪市西区江戸堀1-23-13
肥後橋ビル3号館 301
Tel:06-6449-3863
Fax:06-6449-3865
E-mail:osaka@jyotu.net

<事務センター>
〒680-0942
鳥取県鳥取市湖山町東5丁目567
Tel: 0857-32-2717
Fax: 0857-32-2707
E-mail:info@jyotu.net
ETCカード請求書


組合員様用

ETCカード届出書


組合員様用

ブログ記事カテゴリ
サイト内検索
スタッフ専用ログイン
ユーザー名:

パスワード:


パスワード紛失