2008年6月20日(金曜日)

失踪した研修生・実習生のその後の行方

カテゴリー: - webmaster @ 15時50分40秒

【JITCO発行 『かけはし』2008年6月号より】

 

「失踪した研修生・技能実習生は、その後どうなるの??」

 

 受入れ機関にとっても行政にとっても、研修生・技能実習生の失踪は実に頭の痛い問題でしょうが、残念ながら毎年、研修生が600〜800人、実習生が1,200〜1,500人、失踪しているという現実があります。

 

 この失踪者たちの法的地位は?? 刑事罰は?? 帰国の方法は?? 
これらの答えは個々のケースによって異なってきます。そしてそれは、その失踪者がまだ許可された在留期限内にあるか、在留期限を経過しているかによって大きく分かれます。

   

 第一に、圧倒的に多いのが在留期限を経過してしまったケースです。
 これは、入管で出入国管理及び難民認定法(以下『入管法』といいます)第24条に規定された退去強制事由に該当する者を摘発することをその任務としている調査部門が、その失踪者の身柄を発見して退去強制(いわゆる強制送還)手続きを執っていることを意味します。この場合、原則的に入管や入国管理センター(早期に送還できないときに送還可能になるまで収容する施設)に身柄を拘束されたまま、本国へ強制送還されます。帰国旅費は本人の自費による場合がほとんどですが、どうしても調達できないときには、本人の入国申請に際して往復旅費の負担者として届け出ている受入れ機関に提供を求められることもあります。

 こうして送還された者はブラックリストに登載されて、その後5年間は日本へ来ることができません。もし、これ以前にも送還暦や出国命令(後述)による出国歴があれば、10年間入国を拒否されます。これはその者を国外に追放し新たな入国を拒否する行政措置であり、この2つの措置で済むケースが比較的多いのですが、その者がブローカーであったり偽造文書を行使していたなどの悪質なケースや入管法違反以外の余罪が認められた場合には、入管が警察又は検察に告発し刑事処分を求めることもあります。

 

 失踪者の多くは在留期限を経過しても軽い気持ちでそのまま我が国に留まるようですが、この在留期限を経過して留まること=いわゆるオーバーステイ「不法残留」と呼ばれ、3年以下の懲役か禁固のどちらか、あるいは300万円以下の罰金という罰則が設けられていて、場合によっては懲役か禁固に加えて罰金も併科されることのある重大な犯罪なのです。
 しかも我が国にいる限りは犯罪行為が継続しているため時効がありません。告発した場合には、入管は刑事処分の終結を待って、例えば服役終了後に再び身柄を引き取って送還することになります。

 

 逆のコースをたどる場合もあります。それは、警察が独自に逮捕して刑事手続が先行した場合です。これは警察官の職務質問等で不法残留が発覚することもありますし、窃盗・傷害等の犯罪で検挙されたときに発覚することもあります。いずれの場合も、入管へ通報され、原則として一連の刑事手続が終了したときに身柄が入管へ移され、送還されることになります。例外として、人身取引の被害者であった場合や潜在中に日本人と結婚して子供がいる場合などには、人道的な救済措置として在留を特別に許可されることもあります。

 

 一方、入管・警察に捕まるのではなく、自ら入管に出頭して早期帰国を申し出た場合には、一定の犯歴や送還暦等がないなどの要件を満たせば、身柄を拘束されることなく出国命令手続という簡易な手続で帰国することができます。この手続により帰国した者は、その後1年間入国を拒否されます。

 

 第二は、まだ在留期限内にある場合です。この場合は、失踪はしていても我が国にいることそれ自体は適法です。次のようなケースが考えられます。

 

 その一は、受入れ機関に黙って帰国してしまうケースです。
一定の刑に処せられながら未執行であったり、一定の犯罪で逮捕状が出ていたりなど、要するに関係機関から入管に対して出国確認留保の手配がなされていれば別ですが、そうでなければ通常の出国者と同じく出国することが可能です。この帰国が送出し機関・受入れ機関との間で締結された契約に抵触するのであれば、後日、三者間で解決を図るほかありません。

 
 

その二は、在留期限内で研修・実習先ではない会社等で働いていたケースです。
在留資格「研修」を有する者は、そもそも報酬を受ける活動を禁止されていますし、在留資格「特定活動」を有する者は活動内容と活動場所が個人ごとに指定されていますから、研修・実習先でない会社等で働いて報酬を受けることは「資格外活動」と呼ばれる入管法違反です。不法残留した場合と同様に、行政処分である退去強制と刑事処分が適用されます。働いているうちに在留期限を経過すれば、上述の不法残留者としての取扱いを受けることになります。
 不法残留中であれ、在留期限内であれ、違法な状態で稼動することは、雇用主からは足下を見られて悪条件で使われ、違反の事情を知っている者からはゆすられ、過酷な環境での生活を余儀なくされた挙げ句に惨めに帰国するのが通常です。惨めさから逃れるため犯罪にまで身を染めざるを得なかった例も数多くあることを、研修生等によく教えていただきたいものです。

 
 

その三は、ほとんど例がないと思いますが、所在をくらましたものの何ら職に就かずブラブラしているケースです。
在留期限が到来するまでは入管法違反には該当しませんが、3か月以上本来の活動に従事しない事が確認された場合には、在留資格が取り消され、出国を促されることになります。

 
 

その四は、本人の意思に反して何らかの事件・事故に巻き込まれたケースです。
そのうち連絡があるだろうなどと悠長に構えて警察への届け出を怠っていると、身元不明者照会等の網から漏れて発見の機を逸することにもなりかねません。失踪の事実を知ったときは、入管とJITCO駐在事務所に対する所定の報告を行うとともに、速やかに警察へ届け出る必要があります。

 

 ところで、法務省指針改訂により受入れ機関による保管が禁止される前に、研修生等の依頼を受けて旅券・預金通帳を保管していたところ、その依頼者が失踪してしまい、保管を依頼された以上、遺失物として警察へ届けるわけにもいかないし、廃棄もできず、そうしたものかと悩んでおられる受入れ機関もあろうかと思います。
 これにはかくあるべしとのルールはありませんが、してはならないことがあります。

 

 まず旅券については、所在が明らかになったら帰国等に必要な文書であり、入管からも送付を求められますから、旅券の有効期限(在留期限ではない)まではそのまま保管し、無効になったら国籍国の大使館又は領事館へ返納するのがベターと思われます。この場合、できれば受領証を求めて所在を明らかにしておくのが望ましいでしょう。
 預金通帳については、その預金はあくまでも失踪者本人の固有財産であることを前提として取り扱わなければなりません。ある組合では組合の雑収入に組み入れることにしていましたが、とんでもないことです。組合職員等が本人の名で引き出したりすればこれは犯罪行為です。失踪により受けた損害の補填とも別の問題です。ですから、本人から返還要求があれば、当然、返さなければなりません。なお、これは銀行や預金高によって期間が異なるようですが、その口座に5〜10年間取引がなくて冬眠・不活動口座として別保管された後であっても、本人が請求すれば預金が払い戻されることになっているようですから、通帳を銀行預かりにしてもらえるものかどうか、銀行と相談の上、その経緯を記録しておくことをお勧めします。

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 長々と失踪後の流れを書きましたが、結局は自分が不利な状況になるという事です。年々悪質な誘いするすブローカーも増加してきているとの事で、真面目に研修を受け、生活も安定していた子がいきなり失踪するという事も増えているようです。
 組合側だけでなく受入れ企業様も協力し、研修生達と日頃からコミュニケーションを図り、いつでも相談し合える仲を保ち、また悪い情報に耳を傾けない等、日頃から注意していくことも大事です。
 失踪者は毎年増加傾向でありますが、与えられたこの3年間でしっかり日本の技術を学び、有意義に過ごしてもらえるよう、失踪防止につながればと思います。


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