メール依存で日中とも手紙離れ深刻
Record China 2009/10/6(火)付のweb新聞より
<レコチャ広場>メール依存で日中とも手紙離れ深刻、忘れてしまったその意味
2009年10月6日、レコードチャイナ・ライターによる個人ブログ「全人類の中国分析2」は、日中両国で、メールへの依存によって手紙離れが進んでいると指摘した。
以下は同ブログから。
最近、本をいただいた。詩人・岡昭雄氏の著作「岡の四季」である。著者の長男にあたる方からの贈り物だった。著者は今年4月、胃ガン三期と告知され、この本の出版を思い立ったと「はじめに」で書いている。この本には、32年4か月にわたって西日本新聞に掲載しつづけてきた2500編以上のコラムが収録されている。
そのなかの「郵便配達員」という文章に、こう書いてあった。「手紙は人の心を結ぶ大切な手段である。それが支えられているのは炎暑、雨、豪雪のなかを命を賭けて運んでくれる配達人がおればこそだ。山峡の友人に手紙を書きつつ、彼の専属郵便配達員のような老嘱託員を思い浮かべる。」
それを読んで思い出したのが、ずいぶん前に観た中国映画「山の郵便配達」(フォ・ジェンチイ監督、1999年)だった。長い年月、山間部での郵便配達に従事した父親とその仕事を継ぐ息子の物語だ。中国の雄大な自然に圧倒され、「生きる喜び」の原点を教えられた映画だった。
映画のなかで、目の見えない老婦人に届けられた手紙を、読んで聞かせるシーンがあった。そのシーンを心に浮かべながら、手紙は特別だという思いになる。手紙は、さわれる。手紙には、筆跡がある。手紙は、届ける人がいる。
最後に手紙を書いたのはいつだったろうか。手紙を書くのはわりと好きだった。高校生のときには、韓国の高校生と文通もしていた。親元を離れてからは、両親にちょくちょく手紙を書いていた。恩師、友人、知人にも手紙を書いたものだ。最後に書いたのは…後輩の結婚祝いの葉書だ。しかも1年以上も前のことだ。
何でもEメールで済ますようになってしまった。実体がなくさわれない。筆跡もない。届ける人もいない。あえて言うなら配達員はサーバーか。Eメールのビジネスレターにもルールがある。それを覚える頃には、手書きの手紙のルールなど必要なくなる。そして字が下手になる。漢字を忘れる。
中国語でもほとんど手紙は書かない。書くとしたら役所に提出する紹介状や依頼状くらいだ。中国人は書くか、というと、中国人も書かないらしい。いや、「山の郵便配達」のファンにとっては悲しい限りだが、日本人より書かないかもしれない。ショートメッセージ、Eメール、携帯電話などへの依存度は、日本より大きいと感じる。
7月19日付レコードチャイナの記事によると、中国では、パソコンに依存しすぎて漢字を忘れてしまう「漢字書けない症候群」が小中学生の間にも広がっているという。日本人にはひらがながあるが、漢字しかもたない中国人が漢字を書けなくなったらどうなるのだろうか。
同じく9月10日付の記事によると、今月から施行されている新「郵政法」では、これまでは規制がなかった民間業者による封書類の配達に規制が入り、郵便局の独占業務になる可能性があるという。業務独占によるサービスと利便性の低下で、ますます中国人の手紙離れが進むのではないかと思う。
日本も同じだ。手紙の文化は、日本人として、失ってはならないものだと思う。手紙によって人の心が結ばれると岡氏は書いている。生きるのが苦しい時代だが、1通の手紙によって救われる人が多くいるのかもしれない。
■「全人類の中国分析2」は中国ニュースを材料に、情報を正しく解読することの大切さを伝える、あるレコードチャイナ・ライターのブログ。Livedoor Blogに掲載。
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「漢字を書けない症候群」。まさに私もこれである。思い出そうにもなかなか思い出せない。文字を書かないとこんなにも忘れてしまうものか・・・と思ってしまう。
電子メール、チャット等オンライン化した意思伝達手段の利便性に負け、手紙というものを当分書いていないように思う。
このような時代においても、手紙の長所、温かさを忘れないでいたいものです。
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